アンデルセン童話の一つで、その名の通り人魚の姿をしたお姫様が主人公。
純粋に人を愛しながらも、最後まで報われることがなかった悲恋物語で有名。
あらすじ
深い海には海の国王とその娘たちが住んでいた。王妃は既に亡くなっており、娘達は国王達に育てられていた。
姫は6人いて、その中の末姫は姉たちにとてもかわいがられていた。
彼女は海の上を1度も見た事がなかったため、姉達からその話を聞くのが大好き。
人魚は15歳になると海の上に行く事が許されるのだ。
そんな彼女も15歳となり、海の上に行くことが出来た。そこで豪華客船を見つけた人魚姫は、船から出てきた若い王子に恋心を抱く。王子は空模様を見て、嫌な気配を感じていた。
それは的中し、その日の夜に夜空に黒い雲が広がって、海は大嵐となった。
王子が乗った船は嵐に巻き込まれた事で沈んでしまった。
人魚姫は気を失った王子を見つけ、彼を安全な場所に連れていく。
人魚姫は王子を岸辺に寝かせるが、一人の女性が王子を介抱した事で慌てて姿を隠してしまう。
それ以来、王子が住むお城を眺めてため息を吐く日々が続いていた。
人魚は陸に上がる時、決して人間に姿を見られてはいけないと言う絶対の決まりがあった*1。
だが、人魚姫は王子の事が忘れられず、自分が王子を助けた事を伝えたかった。
そんなある日、王子の事で浮かない顔をしていると、姉の一人が「魔法使いに頼んで人間の脚を得れば、何とかなるかもしれない」と口にする。
姉の言う通り、人魚姫は海の魔女がいる洞窟へ向かった。
魔女は人魚姫の願いを叶えるが、それと引き換えに声を失った。魔女は人魚姫に恐ろしい警告を告げる。
それは、王子が別の姫と結婚した場合、人魚姫は泡になって消えてしまうとの事だった。
人魚姫も1度は躊躇うが、それでも王子に会いたい気持ちは変わらなかった。
薬を飲みほした人魚姫は焼け付く痛みによって倒れた。王子の声で目覚めた人魚姫は全裸の姿で彼に保護されていた。お礼を言うも人魚姫は声が出ない。そんな彼女を王子は城に連れて行った。
彼と幸せな日々を過ごす人魚姫だったが、声が出ないために王子を助けた事実を話すことが出来ず、苦悩が続く。王子本人も人魚姫こそが嵐に巻き込まれた自分を助けた恩人である事に気づかない。
そして王子は、岸辺にやってきて王子を保護した女性を命の恩人と誤解。その女性は隣の国に住む若い王女だった。
自分が助けたと叫ぶも、王子にその想いは通じなかったため、人魚姫は失恋する結果となった。
結婚祝いの船で人魚姫は同行する事になるが、先述で恋を失った悲しみから、暗い海を眺めつつ、自分が泡になることを嘆いていた。
落ち込む彼女に、髪が短くなったお姉さんたちがやって来た。
彼女達は妹を助けるため、魔女に相談していた。その時に長い髪と引き換えに、短剣を受け取ったと言う。
人魚に戻るには、その短剣で王子を殺す事。
『王子様を、刺すんですって？』
短剣を手にした人魚姫は、これで王子を殺す事を躊躇う。
人魚姫は人々が寝静まった隙を狙って、王子が眠る寝室に忍び込み、彼を刺そうとするも、心から彼を愛していたため刺し殺す事ができず、短剣を投げ捨てて王子の元から去って行った。
自分が泡になって消えようが、王子の幸せを祈るしかない…。人魚姫は身を投げて自決するが、天の神は人魚姫の優しい心に打たれ、天使たちと共に天国に召されるのであった。
登場人物
人魚姫
深い海に住む人魚姫の末っ子で、姉達によく可愛がられている。
嵐に襲われた王子を救った事を本人に伝えるため、美しい声と引き換えに人間の脚を得るが、王子は隣の国に住む姫を命の恩人と誤解したため、失恋する。
その後、朝になれば泡になると落ち込んでいた時に姉から王子を殺す短剣を受け取るも、愛する人を刺し殺すことができず自決する。
しかし、自身が命の危機に陥っても王子の命を奪おうとせず彼の幸せを願っていたため、幸いにも泡になって消えることなく天に召された*2。
王子
嵐に襲われ、海に投げ出された所を人魚姫に救われた若い王子。人間となった人魚姫を保護し、城に住ませたり可愛がるが、彼女を命の恩人と認めてくれず、隣の国に住む姫と結婚する。
寝ている時に命を狙われるが、人魚姫は彼を殺す事が出来なかったため、幸いにもその危機から免れた。
人魚姫の姉
深い海に住む人魚姫の姉達。恋が報われなかった事で悲しみに暮れる妹を助けるため、長い髪と引き換えに王子を殺す短剣を受け取った。
海の魔女
海の森に住む魔女。人魚姫の声と引き換えに人間の脚になる薬を作る。更に王子と結婚出来なければ泡になると警告した。
王女
隣の国に住む若い王女。岸辺に倒れていた王子を保護する。
