FF3の光の戦士は辛く悲しい現実から逃げる弱さを持ち合わせており、悪堕ちの危機もある主人公たち。世界の命運を放棄するのは戦士としてあってはならないこと。

暗黒面に堕ちた光の戦士たち。

ドーガとウネ

サロニアを乗っ取ったガルーダを倒したルーネス達は、ダルグ大陸の小さな館に住むドーガ、祠に眠り続けていたウネと出会い、ザンデを止めるため、彼らの力になる。
ドーガはウネを起こすノアのリュートが時の神殿にあるとルーネス達に教え、ウネは伝説の飛空挺インビンシブルの封印を解いた。
ウネは土の牙が暗黒の洞窟にある事を教えた後、主人公達と別れる。

土の牙。
土の牙を手に入れた後、レフィアが「ドーガと畦がいるドーガの館に行かないと」と言うが*1、それが後述の災いに繋がる事実を、ルーネス達は知らないでいた。

エウレカの鍵を作るには…

光の戦士に洞窟の奥へ来るように告げたのは、2つの鍵を完成させるためだった。
禁断の地エウレカに行くには、以前ドーガが言っていた「エウレカの鍵」が必要だった。そこには力が大きすぎて扱えなかった禁断の武器が封印されており*2、ザンデを討つには必須だった。

ザンデを止めるには、エウレカに封印された武器が必要だと語るドーガ。
ウネが言うには、鍵を完全なものにするには戦いで解放されるエネルギーが必要であるとの事。

ドーガ
「そして、エウレカに行くためには鍵が必要だが、それを作り出すためには、わしたちの戦いが生み出すエネルギーが必要なのじゃ」

鍵を完全なものにするには、2人の魔道士と戦ってエネルギーを解放する必要があるのだと言う。

ドーガとウネは人間の命を与えられた事で不服*3を覚え、命の束縛から逃れようと魔王となり、闇の力で世界を滅ぼそうとするザンデの野望を食い止めるため、命を懸けて鍵を作ろうとした。

2人と戦うことを拒むレフィア。気は強いが、彼女も人としての弱さがあるのだろう*4
魔道士と戦うことを拒む光の戦士たち。
自らの命と引き換えに鍵を作るエネルギーを解放するため、光の戦士に襲い掛かるドーガ。
ルーネス達は戦いを拒むも、ドーガとウネは怪物と化して彼らに襲い掛かったため、やむを得ずに倒す事となる。
ドーガを倒しても、今度はウネと戦う羽目に。
戦いの末、ドーガとウネは鍵を作り、2つの鍵をルーネス達に託して命を落とす。
戦いの末、ドーガとウネは全てをかけて鍵を作ってルーネス達に託し、命を落とした。
2人は肉体を捨てて、魂だけの存在となった。
ルーネスは強き心。
アルクゥは優しき心。
レフィアは愛しき心。
イングズは信じる心。

考察

最初な仲間だったけど、途中から裏切って敵対するのもRPGでは定番だが、ドーガとウネは命を懸けて希望を繋ごうとしたため、作中でルーネス達を裏切ってない。

実はドーガとウネの寿命はそう長くはなく*5、命が尽きるまでにザンデを止めようと、光の戦士を探し続けていた。

ザンデの僕、クラーケンが放った呪いの矢からルーネスを庇い、矢を貫いたエリア。
エリアが水のクリスタルの力を解放した*6事で時間が動いた時、2人は光の戦士の存在を知り、彼らと会った事で力になる事を決意するが、ルーネス達が土の牙を手に入れてドーガの館に帰還した後に立場が一転。自身を倒せとルーネス達に迫る。
ドーガが以前語っていた「エウレカの鍵」を手に入れるには、2人と戦う事で解放されるエネルギーが必要だと。

ドーガとウネは心を鬼にして世界の命運を光の戦士に託そうとしていたにも関わらず、ルーネス達はドーガとウネとの戦いを拒み、辛いからと逃げていた*7。仲間だからとの理由で、主人公一行の1人が戦いを躊躇っていた場合、仲間の誰かが心を鬼にしてその人を叱るのが定番だが、上述の戦いを躊躇うルーネスを3人は叱ってない事から、アルクゥやレフィア、イングズも光の戦士にあってはならない弱さを持ち合わせていた。
また、辛い事や悲しい事があっても弱音をほとんど吐かなかった*8初代FFの光の戦士やFF5のバッツ一行と違い、ルーネス達は辛い事があると弱音を吐きやすい傾向にあり、ドーガとウネによる戦いを躊躇っていたのも辛いからだと推測できる*9

理由が何であろうとも戦いを拒んだり、辛い現実から避けるのは大切な目的を見失ったり*10、世界がどうなっても構わないと考えているのと同じで、RPGの主人公にあってはならないこと。下手をすれば世界が闇に飲み込まれるだけでなく、サラ姫やトパパ達と死別する最悪なケースに至る事もある。

また、上述を理由にリディアから「弱虫」呼ばわりされたり*11、パロムやライトニングなどから疎まれても仕方がなく、ルーネス達自身が魔王ザンデのような悪役と化す危険性もある。

暗黒面に堕ちたFF3の主人公たち。

外部リンク

www.pixiv.net

*1:先に土のクリスタルの前に立ちはだかるティターンを倒して、称号を得てからドーガの館に行く事も可能。

*2:ピクセルリマスター版では賢者と忍者の称号も得られる。

*3:ウネは「人間の命こそが最高の贈り物だったけど、ザンデはわかってくれなかった」と残念がっていたが、ノアはザンデの事を好いておらず、限られた命を託したのも嫉妬によるものだった。

*4:辛いからと避けたり、自分に甘くなりがちな弱さも持ち合わせている数少ないヒロインであり、光の戦士となった女性キャラクターでも唯一である。

*5:別れる直前にドーガが「わしの命も長くはない」と言っていたため。

*6:しかし、それと同時にエリアはザンデの僕、クラーケンの放った呪いの矢を貫いて亡くなる。

*7:辛い現実から目を背ける弱さを持ち合わせている主人公は、歴代FFでも類を見ないケースである。

*8:FFに限らず、RPG繋がりの作品に登場する主人公キャラは劇中で弱音を吐いた描写がほとんどない。

*9:「FFBE」でフィーナもこの光景を目の当たりにした事で「そんなの、どっちもかわいそうだよ!」と戦いを躊躇っていたが、ニコルとサクラに諭された事で覚悟を決めた。これはラスフェルも同様である。

*10:「FFBE」でニコルも劇中で言っている。

*11:ただし、リディア本人も人としての弱さを持ち合わせており、無謀な行動に出るエッジに「いい加減にして!これ以上死ぬのは嫌よ!」と泣き叫ぶ描写も存在する。